573 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 題:死界文書 New! 2006/06/14(水) 22:53:37.99 ID:ibeKD328O
――人って死んだらどうなるのかなぁ。
それが彼の口癖だった。
どうなるのかなんて、誰にもわかるはずがない。
だって、死んだら喋れないじゃない。動けないじゃない。
ねぇ、貴方は今どこにいるの?その先は見れた?

ξ;;)ξ「ねぇ・・・死んだって・・・」

彼は事故で亡くなった。道路に飛び出した猫を助けて。
あれからもう1週間も経つ。それでも、彼女の心は癒される事はなかった。

「郵便でーす」

涙を拭いて、玄関へと向かう。扉を開けると、そこには誰もいない。
「悪戯か」と溜め息をつき、また扉を閉める。

「にゃーにゃー」

さっき開けた時に入ってきたのだろうか、一匹の猫がいた。
彼女は追い出すでもなく、その猫を抱き上げた。
猫はまったく嫌がる素振りを見せず、それどころか彼女に懐いているようにもみえる。

ξ゚听)ξ「可愛い・・・」

寂しさを埋めるように、猫を撫でる。
よく見ると首輪が付いてあり、その首輪に紙が結んであった。
彼女はそれを取り、広げた。

574 題:死界文書 New! 2006/06/14(水) 22:54:24.33 ID:ibeKD328O



親愛なるツンへ。
僕は今天国に居るお。猫を助けたからって、神様が誉めてくれたお!
もう会えなくなっちゃったから、直接言えなくてゴメンお。
僕を好きでいてくれてありがとう。幸せにしてあげられなくてゴメン。

その猫は、僕から君に送る最後のプレゼントだお。
月並みだけど・・・僕だと思って大事にしてやってほしいお。
それから、笑顔を絶やさないで欲しいなぁ。やっぱりツンの笑顔が一番好きだから。

僕はこの空からいつも見てるお。だから・・・笑っていてほしいお。
ブーンより。



ξ;;)ξ「ブー・・・ン・・・バカ」

天国から届いたその手紙は、さらさらと粉雪とように崩れて消えた。
彼女は残された猫を抱いて、窓を開ける。

ξ゚ー゚)ξ「・・・ブーン!私、泣いたりしてないんだからねっ!」
fin

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