628 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします New! 2006/06/15(木) 02:51:10.30 ID:RbnuaKcL0
いいや。誰もいないから投下しちゃえ。

異星人の中には当然地球人と仲がいい奴もいればそうでない奴もいる。
前者は例えばパケット星人パケット族。
非力で争いを好まないという性質もあってか、地球人とは友好的な関係を築いてきた。
後者は例えばパケット星人オクティ族。
超能力を操り強靭な生命力を誇り、性質は基本的に邪悪。
同星に住むパケット族を迫害し、地球人に対して攻撃を仕掛けてくる。
オクティ族のちょっかいで死亡した地球人は決して多くなく、銀河連邦宇宙軍としても排除したいという意向を以前から示していた。
ただ、奴らの居城である地下要塞「バラデューク」に攻め込むとしたら間違いなく大きな被害が出る。
それに異星人は彼らだけでは無い。
害意があり危険性が高い原始的種族とは言え、下手に戦争を仕掛けて殲滅したりすると地球人という種族全体に悪評が立つ。
そうなると外交や商業流通に影響を及ぼしかねないのだ。
そういう訳でもどかしさを覚えながらも、軍は手をこまねいて待つ他なかった。
危うい均衡が崩れた直接のきっかけはパケット族からのSOS。
オクティ族の迫害が激化し、友好種族である地球人に助けを求めたのだ。
それを辺境警備隊が受信、殲滅の大義名分を得た軍は警備隊の中で選りすぐられたファイターを地下要塞「バラデューク」に潜入させる決定を下した。
不思議なのはただの辺境警備隊に多数の精鋭や装備があらかじめ配備されていた事。
実はパケット族のSOSは仕組まれたものだったのでは?という噂が流れたが、真相は定かではない。
残されたのはたった3日でバラデュークが壊滅し、オクティ族がパケット星より駆逐されたという事実だけだった。

629 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/06/15(木) 02:53:00.20 ID:RbnuaKcL0
ブーンは町を歩いていた。
街頭のテレビでは景気のいい話が流れている。
今後のパケット族との展望、バラデューク殲滅が如何に困難だったか、それを成功させた辺境警備隊の功績等々・・・
それを見てブーンは複雑な思いを抱く。
今、表に出てきているのは明るい未来の話だ。
では暗い過去の話はいつ表に出るのだろう?
被害規模、戦死者、敗者の処遇・・・。
あるいはこのまま葬り去られてしまうのかもしれない。
それはそれでいいのかもしれない。
あそこで繰り広げられた出来事は余りにも血なまぐさい。
表に出たとしても不愉快な気分になるだけだし、現に自分もできれば思い出したくはない。
それでも自分は忘れないだろう。
あの忌まわしい3日間を。

630 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/06/15(木) 02:54:23.07 ID:RbnuaKcL0
( ^ω^)「ふぅ、今日の訓練は疲れたお…」
コンバットスーツのヘルメットを外し、テーブルの上に頭を乗せた姿勢のままでブーンはそう言った。
ξ゚听)ξ「疲れたお、じゃないでしょ。まだ訓練メニュー残ってんのよ」
ブーンのすぐ近くに立ったコンバットスーツ姿の娘、ツンが言った。
(´・ω・`)「まぁまぁ、ブーンはこの星の重力にまだ慣れてないから仕方ないよ」
と、友人であるショボンがとりなす。
三人は今、訓練室の隣の部屋で休憩していた。
彼らは空間騎兵と呼ばれる兵種で、無重力、もしくはそれに近しい重力空間での戦闘が専門だ。
ブーンは銀河連邦宇宙軍本部での訓練を修了し、パケット星上に存在する辺境警備隊のベースに配属された。
( ^ω^)「それにしても今日も人が多いお」
(´・ω・`)「君と同じような事情で配属が遅れた人が多くてね。お陰で連日訓練室は大盛況だよ」
本来ならば一週間ほど前にこちらでの重力適応訓練は済ませていたはずなのだが、資料の手続きにミスがあったらしく配属が少し遅れたのだ。
そういう訳でブーンは今一週間遅れで基礎訓練中である。
ξ゚听)ξ「まったく・・・訓練はチームメンバー全員参加なんて義務付けしたのは誰なんだか」
( ^ω^)「…付きあわせてすまないお」
ξ゚听)ξ「ブーンが謝るような事じゃないわよ。手続きのミスをやらかした馬鹿が悪いんだから」
(´・ω・`)「うん、出世したら今回やらかした無能な奴の首を飛ばさないといけないね」
( ^ω^)「その通りだお」
そう言って三人で笑う。

631 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/06/15(木) 02:56:18.44 ID:RbnuaKcL0
('A`)「おーす、やってるか?」
( ^ω^)「あ、ドクオも訓練中だったお?」
('A`)「あー、うちのチームのクーがお前と同じように遅れてな」
( ゚∀゚)「で、俺らも訓練に付き合ってるって事よ」
ξ゚听)ξ「あら、ジョルジュも来てたのね」
川 ゚ -゚)「君達のさっきの話ではないが面倒事を起こしてくれた以上、責任はいずれその首で取って貰いたい所だな」
(´・ω・`)「まったくだね」
訓練生時代からの同期でずっと一緒に行動してきたため、六人は気心知れた親友だった。
特にショボンとドクオは軍に入る以前からの友人で、付き合いは結構長い。
しばらく6人で談笑していると出撃警報が鳴り響き、次いで館内放送が聞こえてきた。
『これよりバラデューク突入作戦を開始する。アルファチーム、ブラボーチームが出撃中。残存部隊はただちに戦闘配備に…』
( ゚∀゚)「とうとう始まったか…」
川 ゚ -゚)「パケット星人からのSOSを受信したのは昨日という話だったか?」
( ^ω^)「僕達は準備しなくてもいいのかお?」
('A`)「アホ。俺らは留守番役の上に訓練中だ。昨日の話聞いてなかったのかよ」
ξ゚听)ξ「まぁ訓練が終わってても、私達みたいな新米が行ってもどうしようもないでしょうし」
(´・ω・`)「とりあえず、僕らがやれる事をやろっか」
( ゚∀゚)「んじゃ、訓練を再開するか」
( ^ω^)「了解だお」
川 ゚ -゚)「了解」
全員再びヘルメットを装着し直し、訓練場である無重力室に戻ろうとした。
その直後だった。

632 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/06/15(木) 02:57:49.71 ID:RbnuaKcL0
体中痛い。
( ^ω^)「う…」
痛みに引っ張られて意識が現実に戻ってきた。
一体いつの間に気を失っていたのだろうか。そもそも何故気絶したのだろうか?
身を起こす。
見渡すとコンバットスーツを着ている訓練生が倒れていた。気絶しているようだ。
手近なうつぶせに倒れている仲間に手をかけて揺さぶる。
起きない。
何度も揺さぶる。
やはり起きない。
業を煮やして引っ張り上げた。
そこにあったのはミイラだった。
( ^ω^)「ひっ!」
思わず突き飛ばす。
ミイラはホラームービーのように動く様子もなく、あっけなく手を離れて部屋の端まで飛んでいく。
と、同時に何者かが背後から肩を掴んだ。ひとたまりもなく凍りついた。

633 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします sage New! 2006/06/15(木) 03:02:31.31 ID:RbnuaKcL0
ξ゚听)ξ「ブーン!大丈夫?ブーン!?」
(  ;ω;)「くぁwせrftgyふじこlp;@」
ξ゚听)ξ「落ち着いて。通信機の周波数を今からそっちの網膜映像に送るから…」
( ;ω;)「あzsxdcfvgbhんjmk」
ξ゚听)ξ「落ち着いて…」
( ;ω;)「qzwぇcrvtbyぬみ」
ξ#゚听)ξ「落ち着けっつってんでしょうが!」
ツンの蹴りが炸裂し、ブーンは見事に壁まで吹き飛ばされ叩きつけられた。そのまま床に倒れこむ。
(;^ω^)「…痛いお、ひどいお」
ξ゚听)ξ「さっさと周波合わせて会話できるようにしなさい」
( ^ω^)「?」
何で?わざわざ通信機を通さずとも、空気のある場所ならコンバットスーツ越しでも普通に声が・・・
(;^ω^)「…」
まさか?あれ?何で空気が?
とりあえずツンから送られてきた数字の羅列を通信機にセットする。
( ^ω^)「聞こえるかお?」
ξ゚听)ξ「うん、感度良好。大変よろしい」
( ^ω^)「一体何が起こったのかお?」
ξ゚听)ξ「分からないわ。今他の4人があちこち見回ってる所なんだけど」
(;'A`)「おい…深度計を作動させてみろ…」
ドクオの引きつった声が通信に割り込んできた。
嫌な予感がした。
だけど確かめずにはいられない・・・ブーンはその声に従った。
そこには−400という数字が表示されていた。
川 ゚ -゚)「一体…何が…?」
動揺した声音で疑問を言葉にしたクーに、応えられる者は誰もいなかった。


とりあえず1話分。
ここから続き書こうか書かまいか悩んでる最中。

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