321 190 New! 2006/06/14(水) 00:19:54.33 ID:y+7vpf/60
何とか書きあがった。投下行きます。
後半視点が変わるが突っ込まないでください (´・ω・`)

ブーンたちがシチューを作るようです

VIP中学では家庭科の実習がある。
これは当たり前のように思えるが、ここでは少し意味合いが異なる。
班対抗で料理を作りその出来によって成績を決める。
これも至極当たり前のようだが、ここでは紙の、いわゆる普通の試験は存在しない。
つまり実習の結果でのみ成績をつける、ということだ。

( ゚∀゚)「今日はシチューを作ってもらう」
授業担当の長岡はいつも通りの大声を教室に響かせる。

( ^ω^)「シチューかお。大好物だお!」

(´・ω・`)「シチューね…」

('A`)「シチューかよ…作ったことねぇし」

ξ゚听)ξ「シチュー…これなら勝てる……」

川 ゚ -゚) 「……」

( ゚∀゚)「それでは…開始!」
長岡の号令で一斉に生徒は作業に取り掛かった。

322 190 New! 2006/06/14(水) 00:20:16.69 ID:y+7vpf/60
( ^ω^)「みんな、頑張るお」

('A`)「ああ、頑張ろうな」

/ ,' 3「よろしく」

川 ゚ -゚) 「よろしく」

内藤とドクオは同じ班になることが多く互いに慣れているが、あとの二人とは初めて組む。
荒巻とはよく遊んだりするが、この授業で組むのは初めてだ。
クーは料理がとても上手く、過去何度も班対抗で優勝した経験があった。
―――だから少し油断していた節があったのかもしれない。

323 190 New! 2006/06/14(水) 00:20:38.69 ID:y+7vpf/60
あらかじめ言っていた通り、この授業は試験のような物なのだ。
だからレシピのようなものは使えない。またルーのような便利なものも使えない。

( ^ω^)「クー、作り方を教えてほしいお」

川 ゚ -゚) 「いいわ。まず野菜を切りましょう。
荒巻君、白菜と人参とジャガイモ、あと椎茸と玉ねぎを取って」

/ ,' 3「わかった」

川 ゚ -゚)「ドクオは鍋を用意して油を少しひいておいて。
内藤は豚肉を少し大きめに切り分けて」

('A`)「ういーす」

( ^ω^)「わかったお」

各々作業に取り掛かる。荒巻から受け取った野菜をクーが切り、その間ドクオと荒巻に暇な時間が流れる。
手馴れた様子で野菜を切り分けるクーは様になっていて、
そのとなりで肉を切り分けていた内藤が見とれるほどであった。

324 190 New! 2006/06/14(水) 00:21:23.04 ID:y+7vpf/60
川 ゚ -゚)「次はドクオ、この野菜を炒めて」

('A`)「え、炒めんの?シチューなのに」

ドクオがそう言うと、クーは澄ました表情で、
川 ゚ -゚)「焦がさない程度に炒めておくと煮込んだ時に味がよくなる。塩胡椒を振るのを忘れないように。
ちなみに肉はちょっとしてからこっちの野菜と一緒にいれると丁度いい」
そうクーが示した先には椎茸とジャガイモがあった。

/ ,' 3「なあ」

荒巻が何かに気づいたようにクーに話しかける。
川 ゚ -゚)「なに」

/ ,' 3「ジャガイモはレンジにかけなくていいのか?そうしたほうが調理しやすいと読んだ事があるんだが」
荒巻は物知りだ。流石に本好きが高じて図書委員になったぐらいのことはある。

ほんの少しの静寂。時間にして五秒程度であろうか。クーは、
川 *゚ -゚)「……忘れてた」

(;^ω^)(;'A`)「ちょwww」

325 190 New! 2006/06/14(水) 00:22:13.81 ID:y+7vpf/60
野菜と肉を炒め終わると、クーが水をいきなり鍋にぶちまけるように大量に注いだ。
(;^ω^)「……クー、水じゃなくて牛乳じゃ…それに量が多すぎじゃないのかお」

川 ゚ -゚)「牛乳は後だ。それにシチューは牛乳より水の比率が多い。
比率を逆にするとチャウダーになる。まあ私はチャウダーも好きだが」

( ^ω^)「そうなのかお」

川 ゚ -゚)「荒巻、あとはこれを二十分ぐらい煮込んでくれ、それから灰汁は取ってくれ」

/ ,' 3「わかった」

川 ゚ -゚)「ドクオはこっちにき
ξ#゚听)ξ「何してんのよっ!馬鹿!!」

326 190 New! 2006/06/14(水) 00:22:34.94 ID:y+7vpf/60
突然の怒鳴り声に教室中の視線が注がれた。
( ><)「ごっ、ごめんなさ……ぐぇ」

謝罪の言葉を言い終える前に彼は首をなんかとてもやばい角度で締め上げられる。
ξ#゚听)ξ「謝ってすむわけないでしょうがぁぁぁ!!」

完全に切れている。見ると彼女らの班の煮込んでいる野菜の中に、
誰もが一度は見た事のある半透明で緑のアレが飛び込みの選手も真っ青な角度でダイブしている。
(;'A`)「あーあ、可哀想に……って、内藤!?」

ツンを抑えようとしている数人の中に内藤の姿があった。
(;^ω^)「やめるお!ツン!首はやばいお!」

/ ,' 3「……まあ、あーなったツンを抑えられるのは内藤ぐらいだしな」

川 ゚ -゚)「あっちは任せておこう。ドクオはこっちにきて。付け合せのサラダを作るぞ」

('A`)「あい」

327 190 New! 2006/06/14(水) 00:22:56.12 ID:y+7vpf/60
―――数分後
どうにか収まったツンを励ましたあと内藤が戻ると、
乳白色に染まった美味しそうなスープが仕上がっていた。
しかし三人の表情はとても暗い。この世の終わりかってくらい暗い。

(;^ω^)「ど、どうかしたのかお」

川 ゚ -゚)「……すまない、ルーの作り方……知らないんだ」

( ^ω^)「mjk」

/ ,' 3「というか普通は知らないと思うぞ……」

('A`)「さらさら過ぎるんだよな、もう少しとろみがでねぇと……」

残り時間ももう少ない。今から作り直す時間もないからこれをどうにかするしか方法はない。
そこで内藤があるものに気がついた。

328 190 New! 2006/06/14(水) 00:23:14.65 ID:y+7vpf/60
( ^ω^)「……これは?何で生クリームがここにあるんだお」

そこにあったものはケーキによく使われる子供の味方、生クリーム。

川 ゚ -゚)「さあ?間違えて持ってきたんじゃないのか」

( ^ω^)「……もしかして、これなんじゃないかお」

/ ,' 3「……あ、」

三人の誰もがやられた、というような顔をした。普段表情を変えないクーでさえそんな感じだ。

川; ゚ -゚)「急ぐぞ!もう時間がない」

('A`)「味付けは?」

川; ゚ -゚)「フィーリングで!間違っても砂糖なんか入れたりするなよ」

そうこうしてどうにかシチューの形になった。そして時間一杯煮込む。
制限時間が近づくにつれ、匂いが馴染み深いシチューの香りに近づいてゆく。

329 190 New! 2006/06/14(水) 00:23:31.09 ID:y+7vpf/60
( ゚∀゚)「はい、やめ!」

長岡の声が再び響き渡る。

川; ゚ -゚)「危なかった……」

('A`)「……疲れた」

/ ,' 3「……」

( ゚∀゚)「それじゃあ試食始めるぞ」

長岡が順々に回っていく。ルーが作れなかった班が多く、評価はあまり伸びていないようだ。
ツンの班はシチューじゃなくて野菜スープだった。評価は……
ショボンの班が今までの最高点で満点だった。
シチューの中に白米を入れるという奇策が成功したようだ。

330 190 New! 2006/06/14(水) 00:23:51.59 ID:y+7vpf/60
( ゚∀゚)「最後は内藤の班か」

とうとう順番が来た。四者四様、不安げな様子だ。
おたまで皿に取る。スプーンで掬う。口に運ぶ。
ただこれだけの動作なのにとても長く感じる。やはりいつまでたっても慣れない。

( ゚∀゚)「……」

331 190 New! 2006/06/14(水) 00:24:08.77 ID:y+7vpf/60
早く結果を言ってよ。この瞬間がものすごくイヤなんだから。
思えば少し肉を大きく切りすぎたかもしれない、あれは食べづらかったのかな。
それとも生クリームがまずかったのか。煮込む時間が足りなかったのが悪かっ
( ゚∀゚)「満点!」

あ、満点か。……満点?
理解するのに少し時間がかかったが満点なのか。
長岡先生は手を頭から胸の前まで上下させている。テンションが上がるとこうなるのだ。

('A`)「やったな、内藤」
ドクオは少し上気した様子で言った。

/ ,' 3「満点なんて初めてだよ」
荒巻も興奮しているようだ。

川 ゚ー゚)「ありがとう、内藤」
クーもめったに見せないえが
ξ゚听)ξ「おめでとう、内藤」
ツンが後ろから圧し掛かるように抱きついてきた。少しバランスを崩す。

332 190 New! 2006/06/14(水) 00:24:37.59 ID:y+7vpf/60
えーっと、ツン?
振り向くとツンが笑っていたそして笑いながら右手が僕の顔に、
ξ゚听)ξ「この…ばかぁぁぁ」
殴られた。とても理不尽な気もするがまあ別にいい。

そして、食事の時間。
僕たちが作ったシチューは、自分で作ったという事もあるのかもしれないが本当に美味しかった。

END

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